【速報】米で禁止法案可決 その影響は?

オンラインカジノとオンラインポーカーを含むオンラインギャンブルの関係者に激震が走っています。
Congress approves Internet gambling ban bill (ロイター)
https://news.yahoo.com/s/nm/20060930/wr_nm/congress_tech_gambling_dc_2
アメリカの議会の上下両院で、Unlawful Internet Gambling Enforcement Act of 2006、いわゆるインターネットギャンブル禁止法案が可決されました。
この法案はいつもの通り成立しない見込みだったようですが、強硬な禁止法案推進派がテロリスト対策がらみの港湾セキュリティ強化法案にこのオンラインギャンブル禁止法案をくっつけるという一種の奇策に出ました。そして、結果的に賛成409、反対2で可決されました。
インターネットギャンブル禁止の部分を含む法案の全文はこちらです。(244ページのpdfファイルで、オンラインギャンブル関係部分は213ページ以降)
あとは大統領による署名と施行を待つだけということです。(施行までの期限は一説には270日)
週末に起こったことだけに専門家の意見もまだあまり出ていませんが、とりあえず、今回の法案の内容と考えられる影響についてまとめてみます。

  • 法案の内容
    • 銀行やクレジットカード会社などの金融機関(Financial Transaction Provider)がオンラインギャンブルサイトと出入金のやりとりをすること禁止する
    • プロバイダーなどのインターネット事業者(Interactive Computer Service)がオンラインギャンブルサイトを運営したりリンクしたりユーザーを誘導したりすることを禁止する
    • 禁止する対象には例外あり(競馬、州内で完結するギャンブル他)
    • 違反の場合、最長5年の禁固刑か罰金(または両方)
  • オンラインカジノやオンラインポーカーの運営者への影響
    アメリカの外にベースをもつ運営者がこの法律によって直接規制されることはない。ただし、米国からの入金が途絶えれば、大きな売り上げを失う(世界全体の売り上げに占めるアメリカの比率は7~8割といわれる)。そのため、淘汰が進む可能性が高い。また、米国からの賭けを受け付けると経営幹部がアメリカで逮捕されるという恐れも広がる可能性があり、カジノによってはアメリカ人の登録を中止するところも出てきそう。
    NETELLERやFirePayといった第三者的な「迂回」サービスを利用すれば問題ないという説もあるが、米国内の金融機関はこうしたオンラインギャンブル専業のサービス会社との取引を取りやめる可能性もある。
    そのため、オンラインカジノやオンラインポーカーでは従来にない早さで経営統合が進んだり廃業が広がることになる。

  • その他の関係者への影響
    上記のとおり、NETELLERやFirePayのようなアメリカ人に好まれてきた代替決済事業者には大きく影響が出る可能性が高い。
    またアメリカ国内で広く行われてきたテレビや雑誌などのメディアを通した宣伝も縮小すると思われる。ウェブサイトでの宣伝も減る見込み。

  • アメリカのプレイヤーへの影響
    今回の法案はプレイヤーの行為を規制するものではないため直接の影響はない。実際、法案の議論の過程で、推進派議員が「個人レベルの規制が不可能なため、入出金を規制するという間接的な手段を用いる」と言っているとおり、個人を摘発するということは事実上不可能。ただし、プレイヤーにとっては入金の手段が著しく限られることになり、面倒な迂回をしてでもオンラインギャンブルを続けようという熱心なプレイヤーを除くと、多くのプレイヤーがオンラインカジノやポーカーを離れる可能性がある。

  • アメリカ以外への影響
    今回の禁止法案の影響はほとんどない見込み。あるとすれば、オンラインカジノやポーカーの運営者のなかでアメリカを離れて欧州やアジアに注力するところが増える可能性が高く、その場合、いろいろな面で動きが活発化するかもしれない。

最近のアメリカではテロ対策の名のもとに様々なことが進展しているようです。
米、対テロ関連法案成立・共和党が反転攻勢 (日経)
https://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20061001AT2M3001H30092006.html
背景には、11月に行われる選挙対策のために宗教右派に向けたアピールをしたいという側面もあるようですが、今回の禁止法は、アメリカ国内に限らず、オンラインカジノの世界を大きく変化させる可能性があります。注視を続けたいと思います。
まずは週明けのオンラインギャンブル関連株(パーティーゲーミング、プレイテック、888等)がどうなるのか、興味深いところです。
あとは、そうした会社がどういう声明を出すのか見守りたいです。



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